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アドラーの心理学。子供はほめるより共感。

入門 アドラー心理学とは?

アドラー心理学は、人間の悩みはすべて対人関係に通ずるというのをベースにした心理学であり、嫌われる勇気などの著書などが人気になるなど、近年注目されている心理学です。人間が抱える悩みにはお金の問題や老後、家族など様々なものがありますが、結局は人間関係の悩みに帰着するというのがアドラー心理学における基本的な考えです。このため、他者は仲間であると考え、決して敵ではないことを認識することが求められます。 代表的なアドラー心理学の思想としては、承認欲求を持たないようにする、自己肯定はできるだけしない、自由とは他者から嫌われることなどがあります。承認欲求は、他者から認められたい、褒めてほしいという欲求であり、他者から褒めてもらわないと機嫌を悪くするような人はまさにこの欲求に縛られていることを意味します。 劣等感などは他者との比較により生まれるものとされ、仮に1人で生きているのであればこのようなものは出てきません。劣等感自体は持っていてもいいものの、それをコンプレックスにするのはよくないとアドラー心理学では唱えられています。

アドラー心理学の子育て入門

アドラー心理学では、子供は褒めてはいけないという教えがあります。褒めることをすると、褒められるために何かをしようという気にさせてしまい、結局承認欲求を育むような形になってしまいます。だからといって、叱ることが奨励されているわけではありません。アドラー心理学では他者の課題には踏み込まないことが言われており、無理やりやらせることは明らかな介入を意味します。これを個人心理学と言います。 この場合、何かあったら自分がサポートするという援助の姿勢が求められます。片づけを手伝う、克服しようとしているものがあれば、克服しやすいようにサポートするというものです。こうしたことを勇気づけと言います。そして、褒めるのはダメでも、存在に対する感謝は常にすることが言われています。何かをしてくれたから感謝をする、褒めるのではなく、存在しているだけでうれしいというような形にすれば、子供は自立するようになります。 このように、親が子供に過度に介入しないことがアドラー心理学における子育ての基本となります。それが自立を促し、お互いにとって健全な関係性へと発展させます。

どうやって接すればいいの?

子供への接し方ですが、ほめるよりも感謝や共感が大事であることは明らかです。ただ、いきなり軌道修正をかけるのは大変であるため、常日頃から感謝や共感の気持ちを示していくことが求められます。例えば、テストで好成績を出した場合、素晴らしいと褒めるのではなく、まずは子供の気持ちを尋ね、うれしいと言えば自分もうれしいという気持ちを伝えるなど、自分の感情を伝えることが大切です。 成績によって態度を変化させるというのは実に多くの親が行っていますが、好成績を出さなきゃ存在を認めてもらえないということにつながり、結局は他者依存へとのめり込んでいくことになります。また、兄弟で比較し、兄は優秀なのになぜ弟は劣っているのかという言い方をされることもありますが、こうしたこともいけません。あくまで本人の過去と現在の成長を比較することが大切です。 このように、アドラー心理学は今までの子育て、子供への接し方が間違っていることを明らかにしています。怒ることも褒めることも他者と比較することもしてはならず、まずは存在を認め、感謝することが大前提です。

嫌われる勇気も必要

他者に嫌われる勇気というのは、今までの風習や慣習、常識に従うことが是とされる状況を捨て、自由に生きることを厭わない気持ちを持つことを意味します。他人から否定されるから渋々周囲と同じように生きるというのは迎合した生き方であり、いずれ不満などがたまり、それが悩みとなります。嫌われる勇気を持つことは、こうした人間関係の悩み、様々な不満から脱却することにもつながっていきます。 大事なことは他人を主体にするのではなく自分を主体にするということです。誰かにこれをやらされたというのではなく、自分がこれをやったことで他人が満足したというように考え方を変えれば、感情のコントロールは容易くなります。自由に生きるためには、正直に生きることを意味し、最初は敬遠されるものの、正直で素直な人と思われ、悪く思われないようになっていきます。 子育てにおいても、子供への過度な介入、過度な放任を避けることができます。いずれ結婚しようが、独身を貫こうがその事実だけで子供を評価しようとはしなくなり、逆にいつもいてくれてありがたい、感謝しているという気持ちが芽生えるため、その時は嫌われるかもしれないけど、適度な距離感を築くことができるようになります。